人気記事

宅建に挑戦、その前に知るべき事実

猫餅

宅地建物取引士(以下宅建士)は不動産取引における重要な役割を担う国家資格です。不動産業界でのキャリアアップや収入向上の可能性が広がる点が大きな魅力であり、
宅建士手当として月に1万~5万円程給料に上乗せしている企業が多い事から
その厚遇は確かなものです。
しかし実際に未経験の需要が本当にあるのか?営業マンの自分に必要なのか?
勉強時間や合格率は?不安な方は資格を学ぶ前に一度確認しておきましょう。

結論

キャリアアップや収入向上の可能性が高い魅力的な資格

真価を発揮する為には営業力や実務経験も重要

挑戦するなら6カ月程の計画的学習が必須

葵

お姉ちゃんが勉強してた宅地建物取引士(以下、宅建士)なんだけどさ、
長い時間勉強してまで取得する価値ってどういうものかな?

茜

宅建士は不動産業界にとって法律上の必置義務があるから必須の存在やで。
宅建士が不在だと仕事が成り立たないから、不動産業界で重宝されるで!

例えば正社員の求人なら宅建士というだけで毎月の給与が1万円から5万円
上乗せされるし、時給表記の非正規でも最低賃金より明らかに高い募集が
あったりするわ。

葵

無条件に増えるお給料って思うと魅力的だね!

宅地建物取引士 その魅力

宅建士を目指す一番の魅力は不動産業界における資格手当や昇給といった収入面での還元と、就職や
転職の際に面接の武器として生かせる点にあります。

宅建士は不動産業界で独占業務を持ち専任の宅建士ともなれば事務所の従業者枠にも影響します。
従業者枠とは、不動産業界の事務所に該当する場合、従業者の5人に1人は専任の宅建士である必置義務を
意味しており、事務所が雇用できる人数は専任の宅建士に制限されるという事です。
独占業務に関しては

  1. 重要事項説明の実施
  2. 重要事項説明書(35条書面)および契約書(37条書面)への記名

この2点であり、どちらも宅建士でなければ関与する事が出来ない業務となっています。
また宅建士なら誰でも良いという事は無く必ず自社の従業者名簿に記載されている宅建士である事が
独占業務に当たる条件となります。
なお、重要事項説明書の作成やその際に必要な調査は誰でも可能です。

これらの事情から不動産業界にとって宅建士は欠かす事の出来ない存在であり、多くの企業で求人情報が
掲載されています。書類選考の際はもちろん、面接に関しても宅建士である事は明らかに有利となります
実際、筆者も37歳で宅建士を取得し転職活動を行いましたが、その有利性は強く感じました。何故なら

  • 35歳以下のみ採用として足切りしている企業を除きほぼ全て書類選考は通過した
  • 面談の際「何故不動産業界を目指したのか?」という頻出質問に有利な回答をしやすい
  • 業務委託採用の動きが強まっている昨今、専任宅建士の需要も高まっている

こうした事情から不動産業界では、採用するなら宅建士を採用したいという傾向にありますから
異業種からの転職であっても宅建士である事は大きな支えになってくれます。

葵

お給料も当然だけど、面接の武器としても強力なのが心強いね。

茜

その通り!入社後の評価に限った話ではないから転職のきっかけにもなるで。

それにこの話を言い換えたら、不動産業界では宅建士じゃないというだけで
年収が問答無用で12~60万低いわけやから、ストレートな評価やと思うわ。

実際の所は本当に歓迎されるのか?

気になるのは宅建士というだけで採用してもらえるのか?採用後も温かい人間関係の下で
働けるのか?教育や研修を丁寧に行ってくれるのか?という部分でしょう。
これに関しては宅建士というだけで必ずしも企業から歓迎される特別な存在になるわけではありません

宅建士の資格を持っていても、実務経験がないと即戦力にはなりにくいのが現実です。不動産業界は
ほぼ完全な成果報酬型の為、提案力や交渉力といったビジネススキルが重視されます。
職場の人間関係や教育研修の環境も、配属される部署や店舗によって大きく異なります。この点は
面接の際に必ず企業に確認しておくべきことですね。宅建士だからすぐに独り立ちできるという
思い込みは非常に危険です。

覚えておくべきことは、宅建士の独占業務はビジネス上の付加価値を生むものではないという事です。
実際、ある顧客に対して普通の営業マンが担当についた場合と、宅建士営業マンが担当についた場合で
果たして売上は変わるでしょうか?答えはNoです。宅建業法で報酬が制限されている以上、宅建士が
担当したからといって上乗せした報酬を請求する事は許されません。物件が同じなら、成果も同じです

企業は必要に応じて宅建士の採用を行っているにすぎません。

企業が宅建士を厚遇するワケ

では何故、企業は宅建士を厚遇で雇い入れるのでしょうか?
宅建士を評価する点、それは合格率が常に20%を下回る高い難易度の試験をやり抜いたという事実です。

令和6年のデータで言えば志願者約30万人に対して約24万人しか受験しておらず、その中の4万4千人しか
合格していません。更に合格しても、ただ資格を抱えてるだけで実務に活かしていない人も大勢いると
考えられます。こうした幾つもの脱落ポイントがありながらも完走し、仕事に活かそうとする人に対して
この人は営業でもきっと成果を出すだろうという期待が自然と生まれるのです。

雇用というのは将来の利益に対する投資です。投資対象としてより期待値の高い者に投資したいというのは企業の自然な反応でもあるわけです。

茜

限りある従業者枠を、営業がままならない人で塞がれたらたまらんで。
資格を取ったからといって舞い上がらず、これからどう活かしていくかを
きちんと伝えるのが大事やで?

葵

第一印象だけで天狗になっちゃダメって事だね

挑戦するなら何月から勉強するべきか?

宅建士の合格ラインに至るまでに必要な勉強時間は未経験者の場合、一般的に300時間~500時間が必要
言われています。働きながらの勉強であれば、1日2時間の勉強を6カ月は持続するのが理想です。
試験は例年10月中旬に実施されますから、4月頃に勉強を開始するのが理想的と言えますね。
また、必要時間に関しては独学で挑むのか、通信講座や資格学校を使うのかで大きく変動します

こんなに時間を確保するのは無理だ!と思う人もいるかもしれませんが、スキマ時間と過去問重視の
社会人型の勉強方法
をすれば決して不可能ではありません。
そもそも学校の勉強と異なり合格ラインを超えたか否かのみ問われる事、資格の試験問題は過去問が強く
反映されていてすべての出題範囲を勉強する必要はない事実を理解している事。この2点こそが
合否を分ける決定的な要素となります。

ちなみに筆者は6月1日から勉強を始めて一日に2~5時間程勉強を続けて42点/37点で一発合格でした。
トータルの勉強時間で考えれば300時間前半なので、一般的な勉強時間内ではありますね。

茜

初見で訳が分からないという点の不安なら大丈夫や。法律の問題って初見で
解くの無理やからな。うちも最初の頃それはもう素晴らしい量の×(不正解)が
ついたもんやで・・・

でも間違えた部分の解説を読み、繰り返し問題を考えながら解いてたら最終的に本試験も宅建業法を20問全部正解で終える位に成長したから結局は継続する
意志力やな。

葵

転職したい、稼ぎたい、成功したい、単なる好奇心・・・理由がなんであれ
試験日までやり続けて受験するのが大切だね。

茜

毎年2割くらいは志願しておきながら受験すらしてないからな・・・

宅建士を持ってない営業マンが多い理由

意外かもしれませんが、現場で活躍している営業マンには宅建士を持っていない方も大勢います。
取ってしまえば無条件で給料が上乗せされ、信用を得やすいメリットにもかかわらず何故でしょうか?
それは年収1000万以上稼げるようなエリート営業マンからすれば、何百時間も勉強して月数万の手当に
目指す価値を感じないからです。

前述のとおり、宅建士だからといって会社として単価の上がる仕事ができるわけではありません
一方で、宅建士の独占業務に関わるとなれば本来の営業業務に加えて独占業務が追加されます。
その時間だけ、営業活動が阻害されるとも考えれますね。

実際売上を作るのはあくまで営業活動であり、その為の提案は宅建士に限らずヒアリングや事前準備で
説得力を持たせる事が可能です。企業が従業員に対して宅建士の取得を強く促さない限り、取得を後回しにする、そもそも勉強すらしないというのもひとつの事実ではあります。

茜

とはいえ、宅建士がいないとビジネスが成立しないし事務員さんや経理さんのサポートがないと日々に活動に支障が出る。売上取るやつが一番偉いみたいな発想になるのは好ましくないな、お互い敬意を払って仕事するのが一番やで。

葵

職場の人間関係が悪化して良い事は無いよね。

最後に

宅建士はキャリアアップや収入向上の可能性がある魅力的な資格です。面接でも有利に働きます。
一方で資格だけでは入社後に評価されにくく、実務経験や営業力も重要となります。
肩書に驕ることなく、上司や先輩から知識と経験を取り入れる謙虚さは必ず必要ですね。

そして資格に挑む場合は6か月前を目途に検討しましょう。早すぎればダレてしまうし、遅すぎれば勉強が
間に合わない恐れがあります。

葵

持てば世界が変わる、という程じゃないけど不動産業界では強い資格だね。

茜

やらぬ後悔より、やる後悔。4月も迫った今一度検討しては如何ですか?

記事URLをコピーしました