専任の宅建士とは?その意味を詳しく理解しよう!
専任の宅建士とは、不動産業者が事務所や営業所ごとに法令で義務付けられている
宅建士のことです。
その重要性から、収入面でメリットはあるのか?特別な業務や責任が生じるのか?
気になる人もいるのではないでしょうか?
この記事で詳しく解説していきます。
結論
法令上必要な存在であり、不動産業の営業に欠かせないキーパーソン
企業によっては専任の宅建士には追加の手当支給も有り
監督責任が生じ、副業や兼業が不可能になるデメリットは大きい

不動産業に欠かせないし、宅建試験でも嫌になるほど問われる論点やな。
ただ残念ながら、本来の仕事に監督責任と副業縛りが生じるから
専任登録を嫌がる人も割と多いんちゃうかな・・・
専任の宅建士と必置義務
不動産業者には、法律で専任の宅建士を一定数配置することが義務付けられています。
「専任」という言葉が示す通り、特定の事務所に常勤し、専従している事が求められます。
具体的には以下のルールが課されています。
事務所に該当する場所である場合
一般的な仲介業を営む事業所や店舗が該当します。宅建業免許を受けた法人の拠点も事務所です。
この場合は従業員の5人に1人の割合で専任の宅建士である事が求められます。
- 従業員が5人以下の事務所 → 最低1人の専任宅建士が必要
- 従業員が6~10人の事務所 → 最低2人の専任宅建士が必要
このように5人で1枠という考え方になる為、6人以上で新たな専任の宅建士が必要となります。
また、この従業員にはアルバイトやパート等の短時間労働者も含まれます!
モデルルーム等の営業拠点
モデルハウスの現地案内所やマンションのモデルルームや等が該当します。
契約を交わす事業が起こりうる場所ながら数年で取り壊すような、継続性のない拠点の事ですね。
こうした拠点の場合は専任の宅建士1人さえいれば問題ありません。5人に1人のルールもありません。
また、案内のみで申し込みを受けない、売買契約も行わない場合は宅建士すらも不要です。

という事は、別の事業やってる会社が宅建業やりたい場合って・・・

大抵は子会社や関連会社作ってそっちで免許取る事になるな。
専任の宅建士になるための条件
専任の宅建士として認められるためには、次の3つの条件を満たしている必要があります。
- 会社と雇用契約を結んでいること
- 事務所等に専従していること
- 事務所等に常勤していること
宅建士の資格だけでなく、その不動産業者と正式に雇用契約を結んでいることが求められます。
アルバイトやパートは状況を見て判断される事になりますが、業務委託契約では原則認められません。
判断の大きな要素となるのは専従性と常勤性になります。専任の宅建士は、基本的にその事務所に常駐して業務に従事する必要があります。副業や他の会社との掛け持ちは原則として認められません。
専従とは、登録された拠点で専ら宅建業者、あるいは宅建士として活動しているか?という意味です。
配属されている営業所で事務や経理をこなしつつ専任の宅建士を務めるのは問題ないとされる一方で
関連会社の他業種(インテリアコーディネーター等)に従事しつつ、という場合は認められないでしょう。
常勤とは休日を除いて、登録された拠点に営業時間中は問題なく勤務できるか?という意味です。
おおむね週4・5日は稼働し、現実的な通勤時間圏内に居住している事が求められます。
その性質上、雇用形態以上に稼働時間が問われており、時短勤務者では判定が厳しくなりがちです。
一方でフルリモートであっても営業時間中に活動できるのであれば認められる可能性が高いですね。
ただし通勤も可能であるという事が大前提となっています。
【根拠】
【国土交通省】宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方の一部改正について | お知らせ一覧 | 第九ブロック | ブロック | 組織について | 東京都宅建協会 全宅保証協会東京本部

通勤して通える正社員なら原則条件は満たせるって事やな
専任の宅建士ができる事、実はナシ!?
さて、そんな特別感のある専任の宅建士。
どんな独占業務があるのかと問われれば答えはありません。
具体的には、専任の宅建士は以下の業務を行う事が求められます。
- 1. 重要事項説明書への記名および実施(35条書面の説明)
- 2. 契約書の記名(37条書面)
- 3. 取引業務の適正管理
- 4. 宅建業者の免許要件の維持
独占業務が増えたように感じたかもしれませんが、宅建士としての独占業務は1と2のみです。
3と4はいわば営業所の管理・運用であり、政令で定める使用人(=所長や店長)としての職務となります。
その為多くの企業では、店長をはじめとした役職者に専任の宅建士を兼任させています。
責任者以外に専任の宅建士を任せても立場上強く言えない・・・等の理由で適正管理に支障をきたしたり
最悪の場合、急な退職で5人に1人の専任の宅建士が不足する恐れがあるからです。
店長や係長ともなれば、そう簡単に辞めないだろう・・・という人事的な事情があるわけですね。
これだけ聞けば、専任の宅建士をやるメリットがないように思えるのも無理はありません。
ですがご安心を。多くの企業では専任の宅建士=政令で定める使用人=出世という図式になります。
基本給が大きく上がる、あるいは役職者手当てがつくという明確なメリットがあります。
仮になくとも、インセンティブの割合が普通の営業マンより大きい等の還元方法もあります。
気になる場合・・・というより気にするべき部分なので必ず確認しておきましょう!

責任者でもないのに責任だけ負わされたら誰だって嫌だよねぇ・・・
違反するとどうなる?
わざわざ専任性を求めるわけですから、違反した場合には当然ペナルティが生じます。
企業の場合、考えられる違反としては
- そもそも専任の宅建士が不足している(5人に1人の割合になっていない)
- 専従性、常勤性を欠く人物を登録している
- 不足したにも関わらず2週間以内に補充できていない
といった場面が想定されます。世間に対して非常に印象が悪く、何れにせよ行政からの処分は免れません。
適正な専任の宅建士が確保されるまで業務停止期間が設けられたり、悪質な場合は宅建業免許の取消も
考えられます。
次に宅建士自身の場合ですが
- 専任の宅建士であるにも関わらず会社に黙って兼業を行っている
- 心身の故障や疾病によって適切に業務が行えないにも関わらず届出をしていない
- あまりにも遠方に引っ越した為、リモートワークは可能でも通勤が難しい
といった場合が該当します。世間体というよりは企業に対して明確にダメージを与えてしまいます。
給与面や人事評価に悪影響が生じる可能性があるため、自身の雇用を守る為にも専任性を欠くと感じた場合必ず人事担当者に相談しておくべきですね。

店舗に宅建士が1人しかいないとこういう時困るわけやな・・・
だから宅建持ち営業マンは何人いてもええんやで?

ちなみに専任の宅建士って人数制限あるの?

あらへんよ。条件で問題なければ全員専任にしても良い。
まとめ
項目 | 専任の宅建士 | 一般の宅建士 |
---|---|---|
設置義務 | あり(5人に1人以上) | なし |
勤務形態 | 常勤 | 非常勤でも可 |
兼業 | 原則不可 | 可能 |
主な業務 | 重要事項説明書、契約書への記名 重要事項説明の実施、業務監督 | 重要事項説明書、契約書の記名 重要事項説明の実施 |